研ぎ師の血?

【↑高評価を頂けています】

コバ・ジュンです。

今朝方、外に出た際に目にしたものは、空からザカザンと降りしきる白く大きな物体でありました。そう、雪。うふん、先日「帰宅後のルーティンワークから暖房のスイッチが外れた」なんてつぶやいたばかりなのに、なんですかこのぶり返す急激な寒さは。もちろん暖房フル稼働ですよ。先月のガス代には驚きましたよ(お風呂の追い炊きし過ぎ)。

さて、以前にも書いたような記憶がありますが、どうせ皆様も忘れているでしょうし、何よりボクが忘れているので、もう一度書きましょう(笑)。

ボクの母方の祖父は、「研ぎ師」でありました。いや、あの、正確には知りません。若い頃は何の仕事で生計立てていたのかも存じ上げません。ただ、孫のボクから見ると、「研ぎ師」だったのです。

小学生中学生と坊主頭だったボク。それはすべて祖父に刈ってもらっていました。祖父宅の庭に椅子を出し、バリカンでガリガリと刈ってもらっていたのです。初期は手動だった気もしますが、途中から電動になりました。中一の時は「五厘」なんて短さ。そこらの芝生より全然短いです。

そんな「刈り」の合間、祖父はカミソリを研いだりしていました。「ソノカミソリハナニ?」とボクが問うと「これは下の床屋で使っているものなんだ。頼まれて全部じいちゃんが研いでいるんだぞ」と教えてくれました。他にも、足踏みミシンに似た機械で、あらゆる刃物を研いでいた光景を思い出します。「ソウカ、ボクノオジイチャンハ、ハモノヲトグヒトナノダ」。

月日は流れ、ボクは高校生になりました。16歳。そりゃ周りの目も気にしだす年頃。坊主頭じゃなんかカッコ悪い。髪伸ばしたい。そして整髪料とかつけてみたい。

ある日、ボクは祖父に頭を刈ってもらっている最中にこう切り出したのです。

「アノネ、ジイチャンニアタマヲカッテモラウノハ、コレデサイゴニシタイ」

勇気のいる言葉でした。数多い孫の中で最後まで祖父に刈ってもらっていたボク。そのボクがこれを申し出るということは、イコール「もう頭を刈ってやれる孫がいなくなる」ということなのです。最後の散髪を終えた後、庭に残された椅子を片付ける祖父の姿がなんと悲しかったことか。正直今でもそれを後悔していますが、当時はカッコ良い髪型にしたかったのです。許して欲しい、じいちゃん。

その後ほどなくして寝たきりになってしまった祖父。お見舞いに行った際「じいちゃん、病気になっちゃったよ」と、寝床から起きられない体のまま、それでも笑顔でボクにそういった祖父。ある意味「生きがい」を奪ってしまったのではないか?と、十代ながらも悲しみが押し寄せ、涙ぐんでしまったことをつい昨日のことのように思い出せます。

元気だった頃はよく怒られました。「謝りなさい!」と大声で言われたこともあります。確かあれはミクロマン(今思えばGIジョーだったかも)の人形をどういう経緯でか、祖父の足に強く落としてしまったことが原因。

他には、当時流行っていた特撮「大鉄人17」の超合金を見せびらかしに行ったら、「この機械で削ってやろうか?(笑)」と言われたのも思い出しました。なぜ「削る」に至ったのかは覚えていませんが、茶目っ気たっぷりな顔で言われたのが印象深いです。

戦時中はフィリピンで従軍していた祖父。爬虫類好きなボクに「フィリピンには大きなヤモリがいるんだよ。そしてそのヤモリは鳴くんだ。トッケイ、トッケイって。本当に大きいんだぞ」など教えてくれました。

そして、プロレス好きでもありました。その理由は「じいちゃんは腕力がなくて弱いから、強い人に憧れるんだ」とのこと。思えばボクのプロレス好きは、祖父から受け継いだものかもしれません。ボクも腕力にはまったく自信がなく、そういった面で「強き者」「神に選ばれし者」に憧れを抱いたのと同じ理由なのです。「鉄の爪」ファミリーの一人、デビット・フォン・エリックが日本で頓死した際にも「ジュンちゃん、デビッドが亡くなったよ。知ってるかい?」と電話してきてくれました。

そんな祖父とボクとの関係を思い出しながら、今丁寧に包丁を研いでいます。待てよ、この砥石はどこから持ってきたものなんだ?物心ついた時からウチにはあったし…。そうなると、多分ウチの父が祖父からもらってきたものではないのか?一時、ボクの父はカミソリを研いだりと、研ぎ師の真似事をしていました。しかしそれがどうにもこうにもヘタクソで、研ぐ用の皮研ぎにバツバツ切れ目が入ったりしてしまうという、器用なはずなのにまるでダメダメだったそれを見て、「いかに刃物を研ぐのが難しいのか」というのをこの目で見てきていたのです。そして台所に残されたこの砥石…。

じいちゃん、自己流ではあるけど、なんかこの孫は刃物を研ぐのが得意らしいぜ?だって色んな家にこの砥石を持って行って、包丁研いだりしているもの。でな、それが割と評価高いんだよ。「切れ過ぎて困る」と言われるくらいに。隔世遺伝がこういった形で伝わるとは思わないけど、少なくともじいちゃんが会得したその技術は、隔たりがあるにせよ、ちゃんと孫には伝わってるみたい。研ぎ師の免許でもあれば、正直それを受けてみたいし、今更ながらその道に進んでも良いと思っている。面白いもんだね人生って。色々つまづくし先が見えない状況ばかりだけど、「こういった道」もあると分からせてくれたじいちゃんに感謝です。

で、「研ぎ師」の資格はどこで取れば良いんだ?ユーキャン?(笑)

ではまた。

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