父親の監督作には見るべきものがあるけど、息子となると“滓男”でしょ。ジョナサン・カスダン監督「ファースト・タイム 素敵な恋の始め方」(2012)。

ジョナサン・カスダンはジョン・カスダンとも名乗っていて、ジェイク・カスダンの弟にあたるようです。父親ローレンス・カスダンで、「再会の時」はよかったと思う。ハリウッドでは親の七光りが通じないと、ジェーン・フォンダピーター・フォンダが出てきたとき話題になりましたが、あのころと時代が違うのかな。この程度の出来で映画を作れるのなら、日本人監督はもっと重用されていいと思います。

物語は、高校2年生のオーブリー(ブリット・ロバートソン)がパーティー会場で、独りで愛の告白を練習している3年生のデイブ(ディラン・オブライエン)を見つけるところから始まります。それぞれ交際相手がいるというのですが、この展開からこの二人が恋仲になるのは見え透いている。それならそれで、さっさと話を進めろと思うのですが、もたもたします。

しょーもないことですが、僕はブリット・ロバートソンが道端に座り込むとき、その仕草がぎこちなく思えて、そこから乗れませんでした。そもそも「マザーズ・デイ」で気にかかったブリットちゃん(ぶりっこではない)を目当てに見始めたのですから、これは致命傷でした。座り込んで姿勢を正す仕草が、わざとらしい。そんなんやったら坐るな、っての。

ちょうど「俺たちに明日はない」で、クライドとベッドの上で抱き合うとき、ボニーが露わになった太ももを隠すため衣服を右手で動かし、そのまま何もなかったように抱き合うという場面と同じです。しかしあちらは、語り口といい展開といい、そんな言い訳めいた仕草をぶっ飛ばす映画の内容がありました。今回は、その粗を際立たせるしかないしゃべくりが延々と展開します。

ま、救いは、お互いの恋人がそれぞれ結構本気だったこと。学校イチの人気者ジェーン(ビクトリア・ジャスティス、写真2)も、実はデイブを気に入っているし、年上ミュージシャンのロニー(ジェームズ・フレシェビル)もオーブリーが好き。そしてジェーンを見たオーブリーが、“あの肌は違反よ”と妬くあたりもうまいと思います。

しかし時すでに遅し。僕の心はとっくにこの映画から離れてしまっていたのでした。ということで今後“滓男”兄弟の映画は、手の届かない範囲に置いておきたいと考えます。もっと見なきゃいけない映画がいっぱいあるんだもの。デイブの妹を演じたマギー・エリザベス・ジョーンズに期待したいのですが、大成するころまで僕が生きているかどうか(写真3)。