園芸高校の出前授業

 5月中旬(2017年)、都立園芸高校1)に伺った。醤油出前授業の講師としてである。通常は小学生が対象だが、今回は食品科の高校3年生。授業時間も通常の2倍になる90分である。普段、話す余裕がない事項についてもしっかり紹介できる。充実した時間にしたいではないか。

 さらに、女子が多いとなれば、どうしても力が入る。通常の醤油授業に加え、以前のヒゲタ醤油社員としての経験、現在の技術士活動を紹介。食品安全やHACCP、醤油関連の酵素、栄養、微生物などを追加した。間合いを計りながら話し、数カ所で笑いも取れた。それでも、やや消化不足だったかも知れない。

 本校キャンパスは、東京の世田谷区深沢に存在する。最寄駅は東急大井町線の等々力である。一般に、園芸や園校と呼称されることが多いようだ。後者「えんこう」は、援交を思い浮かべてしまう。そのようなイメージは、正門に入ると一瞬にして払拭される。本館まで続く100mのイチョウ並木である。

 先日、訪問した北海道大学イチョウ並木は、人気スポットである2)。ブログでは触れなかったが、庶民が親しめる感覚があった。比べる必要はないが、園芸高校の並木は立派である。総てが太く・高く、「威厳」を感じさせる。100年を超えているのならば、納得できる。気軽に銀杏(ギンナン)を集められる雰囲気ではない。

 本校の歴史は永く、1908(明治41)年まで遡る。東京府立園芸学校として開校し、地元はもちろん、全国から生徒が集まったという。卒業後は、園芸や造園の分野で活躍した。現在は園芸科の他に、食品科と動物科が存在する。卒業後は、就職するケースもあるが、同分野の大学進学が多いようだ。進学の場合、普通科の方が有利だが、事情があるのだろう。

 本校には、自慢できるものが多い。昭和天皇(当時皇太子)のお手植えの松がある。また、日本庭園、西洋庭園、バラ園が続く。そして、盆栽場である。ここには、100鉢を超える多様な盆栽がある。特に重要なのが、三代将軍の家光公が愛でたという五葉松の2鉢だ。これらを管理しているのが、盆栽部の生徒たちである。

 彼等の活躍に触れねばなるまい。キャロライン・ケネディ前駐日大使との交流である。前大使が本校を訪れている。1915年、高峰譲吉氏等が送ったサクラ3)の返礼として米国からハナミズキが届けられた。この100周年記念式典のためである。この際、盆栽を観て感激した前大使に手ほどきをしたという。その際の写真が廊下に貼られていた。

 帰りにバラ園に立ち寄った。多様な品種が満開のベスト・タイミングだった(写真)。伝統と共に、数多くの貴重な教育財産を持つ高校である。更なる発展に期待したい。

1) http://www.engei-h.metro.tokyo.jp/

2) https://blogs.yahoo.co.jp/teckno555/69445843.html

3) http://www.jasnet.or.jp/4-shuppanbutu/pickup/16.01.pdf