教育か、虐待か

 柵のなかの3つの島ではソリハシセイタカシギとユリカモメがなかよく抱卵中だが、まだ交尾にいそしむカップルもいる。「産卵、抱卵のこの時期はストレスも多いから、リラックスするために交尾することも多いんですよ」と自然ガイドさん。ほお、ボノボとおんなじだと思っていると、「私たち人間と同じです」とお化粧もばっちりしたなかなか美女のガイドさんは続ける。メスが体を低く屈めていざなうと、オスは嘴に水を含んで自分の体にかけ清める。交尾の後は嘴を交差させてフィニッシュというのがお作法だそうです。

 

 抱卵中のソリハシセイタカシギが立ち上がった隙に巣をのぞきこむと、卵の数はたいてい4個。

 ところが、湖を渡りはじめたある家族を見ると、雛たちの数は6羽。自然ガイドが「ありえない。ふつうは、3羽か4羽。5羽でも信じられないけど、6羽っていうのはありえない。」と首をかしげる。と、親が飛び上がり子らに襲いかかっている。え?いったいなにごと?虐待?よその家族の雛が混じっているのに気づいて分けようとしているの?子らは怯えて水の中にいるときから平伏している。陸地にたどりついてからも、親鳥はたけりくるったようにあの長く反り返ったような嘴で突いたり、足蹴にしたりして、雛たちは平伏状態。ヴェルダンの戦いが頭に浮かぶ。

6羽というのは珍しい

と、親鳥が襲いかかっているように見える

虐待しているとしか思えない

 かと思うと、平穏が訪れて、子らが体温調節のために親鳥のほうに寄っていくと一羽ずつ羽の下にかくまって親らしい態度をとるのだ。虐待と溺愛?さっぱりわけがわからない。とガイドさんともども悩んでいたら、交替にきたベテランガイドさん、「え?それって普通だよ。敵が来たら身を伏せるように教えているんで、虐待じゃないよ。」そうだったのか。ソリハシセイタカシギは長生きだから、子育てに熟練した親はこうやって厳しくしつけるのかもね。それまで見てきた親鳥は新米両親だったのかもしれない。

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